国沢光宏のホットコラム

2021 クルマ&バイク情報

Vol.202「最新世代の自動駐車装置について」

「自動駐車装置」が驚異的な進化を見せている。これまでも自動で駐車をしてくれる装置は存在していたものの、使い勝手という点で大いに物足りなかった。様々な手順を踏まないと駐車位置のセットを出来ないし、セットして稼働させてもギア操作&ブレーキ操作を自分でやらなければならないなど面倒。自分で運転した方がずっと早い。

筆者も2003年に買ったプリウスを始め、自動駐車装置付きのクルマを何台か購入しているのだけれど、全く使っていない。この手のシステムを装備しているクルマのオーナー達にも聞いてみたところ、皆さん「使ってないですね!」と答える。買った時に試してみたものの、面倒なので使わないという。そんなことからムダな装備と思っていた次第。

並列駐車の流れ

並列駐車の流れ

ところがホンダeと新型MIRAIの自動駐車装置を試したら、びっくり仰天!完全に使える装備になっている!以下、どんなシステムなのか紹介してみたい(ホンダeも新型MIRAIも基本的に同じ操作&機能を持っている)。まず操作手順だが、右記のイラストのような進路左側に駐車スペースが並んでいる並列駐車の場合、駐めたい場所の前に停止する。

ここまではドライバーの仕事です。 1) センターコンソールにあるハンドルのマークが付いたボタンを押すと液晶画面に駐車スペースが表示される。 2) 駐車したいスペースをプッシュ。 3) 続いて同じ液晶画面にある「開始」をプッシュ。 自動駐車装置がスタンバイになるので、後はブレーキペダルを離すだけ。駐車位置の隣に止まって10秒も掛からない。

驚くのはここからです。ブレーキを離すと最初に前進。適当な位置で自動的に停止し、ギアが自動的にバックへ入る。自動的にバックしながらハンドルも自動操舵してくれる。ちょうど良い位置で自動停止し、パーキングブレーキがONになる。ドライバーはブレーキもハンドルもシフト操作もせず、狭い駐車スペースのど真ん中に入ってくれる。しかもけっこう早い!

自分でやった時とタイムを比べてみたら、ほとんど同じでした。正確に書くと、実際に駐車しようとした場合、周囲の安全確認などしっかり行うため、さらに時間を掛けると思う。自動駐車装置はカメラやソナー(音波測距システム)で安全を確認しながら稼働するため、ミスによる事故まで防止出来てしまう。安全のためにも大いに役立つ。

苦手意識を持っている人が多い縦列駐車はさらに見事!ウデに自信のある人でも「やめておこうかな」と思ってしまうほどスペースのない場所であっても、何度か切り返しを行って駐めてしまう!もちろん操作方法はスイッチや液晶画面を3回押すだけの完全自動。縦列駐車なら熟練ドライバーより早いほど。

さらに素晴らしいのは、登録しておくことで自宅の駐車場など白線を引いていないスペースにも自動駐車が出来ること。例えば公道からバックで歩道を横切り自宅横の駐車スペースに駐める場合、ベテランですら歩行者の入念なチェックをしながらの為手間取る。最新世代の自動駐車装置付きであれば、3回押すだけで安全まで確保出来てしまう。

新型MIRAI

新型MIRAI

最新式の自動駐車装置は新型MIRAIとマイナーチェンジしたレクサスLS、ホンダeにしか採用されていないものの、今後ドンドン増えて行くと思う。手間がかからないだけでなく、安全性まで担保出来る点が素晴らしい。駐車する時の事故は、物損や自損、対歩行者を含め案外多い。最新の自動駐車装置付きなら超安心です。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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