Vol.193「チョイ乗りは車に悪影響?」
新型コロナ禍を受け、近距離しか移動しないという、いわゆる「チョイ乗り」が増えてきた。連休中もロングドライブは自粛すべきだと思う。とはいえ生活を維持するための買い物などでクルマを使う。感染防止という観点からすれば最も安全です。さて、エンジンが十分暖まらないような使い方を繰り返すと、どういった状況になるだろうか?
全く問題無いのが電気自動車。電気自動車は短距離移動のパワーユニットとして最適だ。そもそも「暖まらないと正常に稼働しない」という構成部品が無い。500mの移動ですらストレス無く、不具合も出ません。満充電したときの航続距離30km程度というアウトランダーやプリウスのPHVなども、近所の移動なら電気だけで走れてしまう。
ハイブリッド車はどうか?やはりチョイ乗りに強い。ハイブリッド車のエンジンは、冷えている状況で使われることが多く、そもそも「暖機運転」という概念がありません。走り始めはモーター。そこからエンジン始動になるのだけれど、事前にエンジンを暖めることなどしない。エンジン自体も、止まったり動いたりする前提になってます。
電気自動車やハイブリッドと対照的に、チョイ乗りを繰り返すと非常に厳しいのがディーゼル車。最近のクリーンディーゼル車は、排気管から黒い煙は絶対に出ない。正確に書くと燃焼時に黒い粒子(すす)を出しているのだけれど、高い集塵性能を持つフィルターでキャッチしている。当然のことながら、フィルター内にすすが溜まっていく。
そこで一定量溜まった時点ですすを燃やす。これを「DPF再生」と呼ぶ。車種や走行速度によっても違うけれど、大雑把に言って再生に10~30分掛かります。高速走行していれば排気ガスの温度が高いため短い時間で終わるし、渋滞中などは温度が上がらず30分くらい掛かってしまう。もちろんメーカーや車種によっても異なります。
いずれにしろDPFの再生燃焼をしないと処理装置にすすが溜まってしまい、最悪、エンジンが普通に稼働しなくなってしまう(酷い症状が出てリコールを出したメーカーも複数ある)。乗り方やメーカーにもよるが、チョイ乗りを繰り返していると走行100kmくらいから再生燃焼が必要。つまり30分以上連続して走らなければならないということ。
ハイブリッド車やディーゼル車ではない普通のエンジン車だとどうか?基本的に暖機運転終了まで燃焼が安定しない。特に始動直後のエンジン回転数を高めに設定してある車種(暖気を早めたり、エンジンを安定させたりするための制御。ファストアイドルと呼ぶ)や、冷間始動時の排気ガスが臭い旧式のエンジンは濃い目の燃料を吹いてます。当然ながらエンジン内部にすす(カーボンなど)が溜まってしまう。ということで始動時に臭いを感じる普通のエンジン車やディーゼル車(クリーンディーゼル車含む)でチョイ乗りを繰り返すなら、強い清浄効果を持っている『パーフェクトクリーンDX』といった燃料添加剤の使用をすすめておきます。
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ECOカーはチョイ乗り得意
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普通のエンジン車は添加剤を有効に使いたい
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。