国沢光宏のホットコラム

2018 ラリー参戦記

Vol.173「ラリー参戦記 2018年WRC inドイツ」

2019年秋の愛知県や岐阜県などの中部地域でWRC(世界ラリー選手権)が開催される動きになってきた。WRCは観戦者数でF1を凌ぐなど、絶大な人気を持つ。特にヨーロッパに代表されるサッカーファンの多い地域はWRC人気も高く、自動車の販売にも大きな影響を与えるほど。

こう書くと「モータースポーツに興味の無い人だって多い」と思うかもしれない。確かにゴルフなど、どんなスポーツでも競技に興味ある人は限られている。ただゴルフクラブを買おうとしたら、やはり競技で実績のあるブランドを選ぶことだろう。これはもう自転車やテニスラケットに至るまで同じ。

実際、一般公道で競われるラリーに出て強いクルマは良いクルマだと思う。今回フォードの『フィエスタ』というクルマでWRCドイツに出場したのだけれど、これが驚くほど素晴らしかった。フィエスタというクルマ、日本だとトヨタ・ヴィッツやマツダ・デミオ、ホンダ・フィットと同じサイズに属す。

搭載されているエンジンは3気筒1000ccターボで、最高出力なんと180馬力!これが驚くほど速く、しかも飛んでも跳ねても、でこぼこの道でも全く音を上げない。しかも乗る人次第で、2000ccターボエンジン積んだランサーエボリューションより速いのだから驚く(私だとトントン)。

こういった性能を見てしまうと、やはりクルマ選びに影響力を与える。ゴルフクラブではないけれど、多少高くたって競技で実績のあるブランドを選ぶ。興味深いことにこの流れ、クルマだけに留まらない。ブレーキやタイヤ、シートに至るまで競技で実績のあるブランドに人気が高い。

翻って我が国の最近の状況を見ると、自動車メーカーの経営陣が「競技とクルマに売れ行きの相関関係を示さないなら参戦させない」などと、競技をやっても販売台数との相関関係(費用対効果)が数値として出ないため消極的。結果的に日本勢のプレゼンスは大幅に低下している。WRCドイツを見ても日本製タイヤは見事に無し。そんなことから欧州での日本車の売れ行きも落ちる一方だ。

日本車の技術が急速に発展したのは、本田宗一郎さんの功績だと思う。早い時期から海外の競技に出ていき実績を残し、1960年代にはF1にも出場している。その一方で鈴鹿サーキットという当時のホンダの規模から考えればとてつもなく大きな規模の国際格式のサーキットを作った。

嬉しいことにWRCにはトヨタが昨年から復帰し、久しぶりに「日本」の存在感を出している。ドイツでも見事に優勝を飾り、欧州の販売状況はトヨタだけ明確な伸びを見せている。このあたりで眠っていた日本勢も目を覚ますべきだと思う。そんな意気込みで私はWRCドイツに出場した次第。

誰かがやれば、それに興味を示す人も出てきます。ちなみに結果といえば、順調に走れば1日目は欧州の若手や腕利き相手に善戦。無名の日本人でしかもジジイの割に頑張るな、と皆さんから声を掛けていただいた。残念ながら2日目の土曜日はWRCドイツ屈指の難コースの洗礼を受けリタイア。

軽微なダメージだったため部品交換して復帰した3日目の日曜日は存分に走った。機会があったらまたチャレンジしてみたいと思う。

ちなみに今回KUREの商品を2つ使ってみました。「Stoner インビジブルガラス」はサービス毎のガラスクリーニングにピッタリ。ばっちり良好な視界を確保できました。 また、金曜日に激しいスコールあったのだけれど、「ルックス レインコート」の撥水効果はスゴカッタ!

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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