Vol.162「東京モーターショー2017」
今年は2年に1度開催される東京モーターショーの年である。会期は10月27日(金)~11月5日(日)までの10日間。前回と同じく東京ビッグサイトが会場。今回のテーマは『世界を、ここから動かそう』ながら、陰のテーマになっているのが「減少し続けている入場者数に歯止めを掛けたい!」。
実際、1991年の202万人をピークに、入場者数は減少している。自動車メーカーが規模を自粛したリーマンショック直後の2009年と東日本大地震の2011年を除けば、2007年の142万人から、2013年は90万人、会期を1日延ばした2015年も81万人と落ちてしまった。
外国からの出展社も大幅に減り、今回からアメリカやイタリア、イギリスのメーカーは全て撤退している。モーターショーの華と言えばフェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーや、ロールスロイス、ベントレーといった超高級車ながら、1台も展示されないということ。
かつてはパリとフランクフルトに並ぶ世界の3大モーターショーとまで言われた東京モーターショーながら、今や中国のモーターショ-(北京と上海、広州)より評価が低くなってしまい、10大ショーに入るかどうかの規模。世界を、ここから動かそうというテーマとの乖離が激しい。
といったことを主催者も十分認識しているようだ。それが前述の「入場者数減に歯止めを掛けたい」という動きになっている。これまで東京モーターショーといえば「親方日の丸」状態。クルマを並べれば人は来ると思っていたことからすれば、大きな方向転換になると思う。
残念ながら危機感持って準備を開始したのは今年になってから。すでに決まっていたことも多く、全体の枠組みを変えることが出来なかったようだ。だからこそフェラーリやランボルギーニを会場に並べられなかった。ただ「出来ることはなんでもやろう!」ということらしく、盛りだくさん。
例えば試乗。東京モーターショーのWebのメニューバーから「イベント」を選ぶと「試乗会」という項目が出てくる。見ると超小型モビリティを特設会場で試乗出来るし、普段はトヨタ車しか用意されていないメガWebのライドワンに行くと、全ての国産メーカーのクルマ&バイクに試乗可能。
はたまた『AJAJ』という自動車ジャーナリストの団体がガイドツアーを行う(約2時間。料金は入場料+900円)。ガイドと一緒に回ると、普段見せてくれないような場所や、ナイショの話など聞ける。今年は規模を拡大しており、まだ間に合うのでお試しを!
前回のモーターショーから設定されているが、クルマ好きにおすすめしたいのは、27日(金)のプレビューデー。本来紹介日だったのだけれど、午後の一部を『プレビューデー入場券』(12時30分~18時)として販売する。3500円は一般公開日の1600円より高額ながら、圧倒的に空いているのでジックリ楽しめると思う。
比較的空いている16時~20時までに限定した「アフター4」という入場券もあり、当日券で900円。高校生300円。中学生以下は、27日を除く会期中全て無料。次世代のクルマ好きを育てるためにも、若い人に華やかなモーターショーを見せてあげたらいかがだろうか。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。