Vol.128「クルマに関する素朴な疑問に国沢光宏が答えます!」
Q:暖気運転は必要?
A:微妙な燃料コントロールが出来なかったキャブレター世代のクルマの場合、暖気運転をしなければスムースに走らなかった。しかし今や2輪車すら電子制御になり、その気になれば始動直後から普通に走ってくれます。果たしてクルマに悪くないか?
結論から書くと「あまり心配無いが、気遣いをすべき」となる。今やオイルの質も圧倒的に向上。摺動部分の潤滑を冷間時からキッチリ行ってくれる(『デュアルブ』のような添加剤を使えばベスト)。しかしエンジンなどの可動部分は使われている素材によって膨張率が違う。暖まった時に適正のサイズになるよう設計されてます。また、変速機や駆動系などに、暖まらないと性能を発揮出来ないグリスのような油脂も使われている。こういった場所は暖まらないと本来の潤滑能力を引き出せない。
以上、いわゆる「エンジンだけ掛ける暖気」についていえば不要ながら、クルマ全体を暖める気配りはすべき。ということで水温計が動き出すくらいまで、ユックリ走ることをすすめておく。
Q:エンジンはたまには高回転まで回したほうがいい?
A:エンジンの構造からすれば、回す必要無し。いつも低い回転で使っていたって壊れるようなことなど無い。ただ洗浄効果の薄いレギュラーガソリンを使っていると、カーボンに代表される「汚れ」が付着する。2~3万km走るとシリンダーヘッドやバルブ回りに燃えかすがビッシリ、みたいなことも珍しくない。
一番簡単な対応策はエンジンに熱を入れること。その場合、空ぶかしくらいじゃ効果無く、サーキットのような場所でアクセル全開を10分間くらい続けないとダメ。そんなこと出来ないと思う。通常の使用状況でカーボンを取るには、『パーフェクトクリーン』のような燃料添加剤が効果的。コストパフォーマンスを考えれば燃料添加剤です。
Q:エンジンブレーキとフットブレーキはどっちを使うほうがいいの?
A:基本的にエンジンブレーキはフットブレーキの補助として使うもの。したがって街中や高速道路でも通常の走行をしている限り使う必要ありません。フットブレーキだけでOK。エンジンブレーキが重要になってくるのは、長い下り坂です。
フットブレーキにとって一番厳しい使い方は「強さに関わらず連続して使う」こと。弱いブレーキでも長い時間掛けていると放熱出来なくなり、結果、フェードしてしまう。長い下り坂を走るときは、アクセル戻しても加速しないギアを選び、減速する時はフットブレーキを使う。中には下り坂で2速とか1速に落とし、盛大な音を出すエンジンブレーキを使っている人も居るが、そこまで頑張る必要はありません。
Q:信号待ち時はヘッドライト消す?
A:一昔前まで信号停止=ライトオフが常識でした。古い世代のクルマはアイドリングの発電能力が不足しており、バッテリーの電気を持ち出してしまう。加えてヘッドライトの光軸カットのレベルも低く、ロービームでも前のクルマに迷惑を掛ける。
最近は発電能力十分。ヘッドライトの光軸カットもバッチリ。そんなことから、むしろ点灯忘れの事故を防ぐため常時オンにすべきだという流れになってます。ただSUVやミニバンなど車高のあるクルマが、車高の低いクルマの後ろについて停止したような時は、マナーの観点からヘッドライトは消してあげましょう。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。