Vol.117「“カーナビ”として優れている機器はどれだ?」
従来の本格的なカーナビか、それでも『PND』と呼ばれる簡易型のナビ、はたまたスマホをナビとして使うかで迷うケースが増えてきた。実際、スマホのナビ機能はドンドン充実してきている。例えばグーグルマップにはVICS情報を活用したリアルタイムの渋滞情報まで表示されます。
PNDでVICS表示をするタイプは本格的なナビと同じくらい高価になってしまうため、それならスマホをナビ代わりにしよう、という人も多いことだろう。実際、若い世代を見ていると、新たにナビ(本格的なナビだけでなくPNDも含む)を買う人は大幅に減少しているようだ。
改めてそれぞれのメリットとデメリットを紹介してみたい。
従来型のナビは見た感じの質感が高い様子です
【本格的なナビ】
画面が大きく経路案内も充実している。一般的にナビだけでなくTVやオーディオ機能も一体となっているから、ディーラーで新車時に装着するタイプであっても10万円以内で全ての「AV」が揃ってしまう。音質や画質、装着した時の見栄えも良好。×PNDやスマホより高価。古くなると地図のリニューアルが難しいくらいで大きな弱点は無し。
【PND】
ナビ機能はけっこう充実している。画面も7インチタイプが主流になっており、見やすい。価格だってリーズナブル。今や外国製のPNDであれば2万円も出すと立派なPNDを買えます。×クルマにセットした時の見た感じがイマイチ。基本的にVICSの渋滞情報は見られない。TVも写るけれど、音声はナビ内蔵の小さいスピーカーからしか出ないケース多し。
「ミニ」の純正オプションになっているスマホ用スタンド
【スマホのナビ機能】
地図は常に最新。渋滞表示も出る。新しい機器を買わないで済むため、投資は車載するためのアタッチメント代くらいで済む。地図ソフトを入れておけば、電波の入らない地域でも使えます。×地図画面が非常に小さく、広域の情報を取りずらい。50歳を過ぎて老眼傾向になってくると視認できないと思っていいだろう。
最近はスマホのテザリング機能を使い、7~10インチ級のタブレット端末でナビ機能を使う人も出てきた。10インチ画面でグーグルマップを使ったら、今までのナビが古く感じるようになってしまう。タブレットは高温や振動に弱いけれど、クルマから降りる時に外していれば問題なし。
近い将来どうなるだろうか?ここにきてスマホの機能をテザリングでなくブルートゥースで飛ばすタイプのナビが出てきた。こいつの液晶画面を従来のナビのような場所に取り付けておけば、スマホのナビ機能の良いところと、本格的なナビの良いところの両方使えるハイブリッドナビになります。いわゆる「クラウド型のナビ」(情報センターと通信して地図や情報を得る)。こういったタイプが5万円になるとイッキに普及していくと思う。
ということで新車を買うなら機能充実のディーラーオプションのナビを。現在使っているナビの機能が古くなってきたのであれば(地デジは写らなくなる)、コストパフォーマンスが高い車載の地デジTVを買い、ナビはスマホで代用させるなどいかがだろうか?
ちなみにナビ本来の機能は「目的地に早く到着できる」こと。クラウド式のナビになれば、総合的な交通状況を持っている情報センターと通信し、目的地までの最短時間を出してくれるようになるだろう。あと2~3年すればクラウド式のナビが普通になると考えます。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。