Vol.116「燃料の違い」
ガソリンスタンドに行くと、基本的にレギュラーガソリン/ハイオクガソリン/軽油/灯油を販売していることは御存知だと思う。これらの燃料、「どういう特性や特徴を持っているか?」案外知られていない。知っておくと何かの時に役立つかもしれません。以下、ジックリ。
まず原油と4油種の関係を。原油に熱を掛け精製する際、大雑把なイメージとして最も低い温度で出てくるのが『LPガス』(プロパンガス)。次に出てくる『ナフサ』からガソリンを取り、続いて『灯油』そして『軽油』というラインナップとなる。原油を精製すると、全ての油種が取れます。
「ガソリンは上質」だと考えている人も多いようだけれど、油そのものの値段は4油種で大差なし。具体的に紹介すると(*)、ガソリン77円78銭/軽油79円10銭/灯油78円66銭です。ガソリン価格が高いのは、53円80銭/Lのガソリン諸税が上乗せされているためだ。
フランスの価格
海外だとガソリンも軽油も税率はほとんど同じなので、ほぼ同じ価格で販売されている。したがってガソリンだけ使用量を減らすと余ってしまう。全ての油種をバランスよく使う、というのが上手なエネルギー政策だと思っていいです。ちなみにジェット機の燃料は灯油(ケロシン)を使う。
続いて油種毎の特徴など。最も一般的なのは『レギュラーガソリン』。日本の基準だと89オクタン以上と定められている。実際は「90オクタン以上」(石油会社のWebサイトにも明記してある)あり、最も高いレギュラーガソリンは92オクタン程度だと考えていい。
ハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを使用したらどうか。カタログを見ると「レギュラーガソリンを使うと出力などが落ちます」と書いてある。エンジンやメーカーによっても異なるけれど、最高出力は10~15%落ちると考えていい。「使える」と書いてあれば、壊れる心配はなし。
気になる燃費だけれど、エンジンの制御システムによって違う。落ちるエンジンもあれば、変わらないエンジンだってあります。このあたりは自分で燃費を計測し、確認したらいいと思う。参考までに書いておくと、レギュラーガソリン仕様にハイオクガソリンを入れても性能は変わらない。
ハイオクガソリンは「オクタン価96以上であること」と決まっている。ただWebに「100オクタン」以上と書いてある日本の大手系列もある。100オクタンのハイオクガソリンと91オクタンのレギュラーガソリンを半々で混ぜたら何オクタンか?答えは95.5オクタンです。
軽油はガソリンと全く違う特性を持つため、ガソリンエンジンに入れると動かなくなってしまう。セルフのスタンドで「軽油」を軽自動車用のガソリンと間違える人が本当にいるという。ガソリンに混ぜることも好ましくないため絶対止めること。間違えて入れたらエンジンを掛けず、入れ換えなければならない。
燃料添加剤は燃料の特性を一段と引き出すために使ったらいいと思う。温度変化の激しい季節なら「水抜き剤」。週一くらいしか乗らないクルマであれば「クリーナー」や「トリートメント」。パワーアップを狙った製品も面白い。
*2013年9月20日現在の10月渡し先物相場。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。