国沢光宏のホットコラム

2013 クルマ&バイク情報

Vol.109「最先端の安全装置事情」

ボルボV40

ここにきて自動車の安全性が大幅に向上している。現時点で世界最高水準の装備を持つクルマは、2013年2月21日に発表されたボルボV40だろう。何と10種類の最先端安全技術を採用してきた。どんな装備なのか簡単に紹介したい。

1) 歩行者検知機能付追突回避・軽減フルオートブレーキ・システム
車両進路方向に居る歩行者をミリ波レーダーとカメラで検知。時速35km/h程度までなら、ほぼ確実に自動ブレーキで停止させる装置。時速80km/hまで被害を大幅に低減可能。

2) シティ・セーフティ
前方の障害物をレーザーレーダーで常時監視。衝突が避けられないと判断された場合、自動で急ブレーキを掛けて停止させる装置。時速50kmまで停止可能。それ以上でも被害を低減出来る。追突事故の大半を回避出来るから素晴らしい。

3) レーンチェンジ警告
高速道路での事故の多くは車線変更時に後続車と接触するという形態。これを防止するため、バックミラーの死角に車両があったり、車両方向70m以内を急速に接近してくる車両を検知したら警告灯と警告音を出す。

4) 車間距離警告
前方車両との車間距離が危険と判断された時は、フロントガラスに警告灯を点滅させる。

5) 眠気警告
ドライバーの運転モードを常時チェック。フラ付きなどを感知すると警告音を出して注意喚起。

6) 車線逸脱防止機能
カメラで常時車線を監視。ウインカー無しで車線を越えそうになった場合、車線に戻るよう緩いハンドル操作を自動で行いつつ、ハンドルを振動させて警告を行う。居眠りや脇見運転で車線を逸脱しないようにする効果を持つ。

7) バック時の左右警告
リアバンパーの中に左右方向を検知するレーダーを装備、バックで車線に出る際、左右方向から接近してくる車両の有無をドライバーに知らせる。自転車やバイクなども感知してくれるため、うっかりミスの大半を防げると思う。

メーターパネルに制限速度が表示される

8) 道路標識表示
前方カメラで制限速度と追い越し禁止の道路標識を視認。メーターパネルに常時表示する。特に制限速度表示は有り難い。進化させれば一時停止表示を読んで減速したり、制限速度以上出せないような機能も持たせられることだろう。

9) 歩行者安全ボンネット
フロントバンパーに装備されたセンサーが歩行者との接触を検知すると瞬時にボンネットの後方ヒンジが10cm程度持ち上る。これにより薄板構造のボンネットは衝撃緩衝効果を持つため、歩行者のダメージを大幅に低減出来る。

歩行者用エアバッグ

10) 歩行者用エアバッグ
安全ボンネットでも強固なAピラーに歩行者の頭部が当たると危険。そこで硬い部分にエアバッグを展開し、歩行者の安全 を確保しようという装備。安全ボンネットと合わせ、時速50km程度までなら深刻な障害を負わせない。

以上、10種類の安全装備により、良識的な速度で運転していれば、ほぼ全ての事故に対する防止効果を持つ。販売している全てのクルマがこういった装備を持つようになれば、交通事故や痛ましい死亡事故を大幅に減らせることが出来ると思います。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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