Vol.106「タイヤの交換、保管方法」
ガムテープにメモしておこう
スタッドレスタイヤの季節になった。せっかくタイヤを脱着するのだから、この機会にやっておいたら良いと思うことを考えてみた。
まずスタッドレスタイヤのチェックから。保管中、空気が抜けたり、劣化によってタイヤのサイドにヒビなど入っていたりしていないだろうか?空気はどうしても抜けていく。おそらく若干少なくなっているだろうから、タイヤを自分で交換したら、そのままガソリンスタンドなどに直行し、空気圧チェックを行って頂きたい。タイヤのヒビや傷は装着前に目視で確認。目立ったダメージを見つけたら安全のためにも交換しましょう。
今まで履いていた夏タイヤは、使っていた場所をキッチリとメモしておくこと。ガムテープに『FR』(フロント右)とか『RR』(リア右)など書いて貼っておくだけでもOK。なぜそんなことをするのか?理由は二つ。ローテーションと回転方向を間違わないためです。
回転方向の指定
ご存知の通りタイヤは前輪と後輪で減る早さが違う。FF車の場合、前輪は後輪より重い荷重を負担している上、ハンドルを切った時に摩耗し、アクセル踏んだ時も摩耗する。ブレーキだって前輪に負担が掛かってしまう。そんなこんなで後輪の2倍くらいの早さですり減っていく。
だったら前輪を4万km毎に交換し、後輪は8万kmまで使えばいいでしょ、と思うかもしれないが、タイヤは時間の経過と共に硬化していく。出来れば前後同じタイミングで交換したい。スタッドレスタイヤと夏タイヤを交換するときに前後を入れ替えておけば、均等に減っていく。
二つ目は回転方向。ラジアルタイヤの構造上、反対方向に回すと一旦タイヤを構成しているスチールベルトが緩んで不安定な状態になる。出来れば同じ回転方向で使うべき。ということで前後入れ替えの際、右前輪は右後輪と。左前輪は左後輪と入れ替えなければならない。その際に目印が必要。
スタッドレスタイヤは基本的に回転方向を指定しているため間違うことはない(夏タイヤも回転方向指定のタイヤが増えてきた)。春になってスタッドレスタイヤを外した時は「前後どちらに使われていたか」ということだけメモし、次のシーズンに前後を入れ替えればいいだろう。
春になってスタッドレスタイヤを外したら、必ずホイールの内側を水で洗っておきたい。融雪剤は広義の塩(塩化カリウム)なので、付着したままだと金属を傷めてしまう。普通の洗車だと外側しか洗えないので、外した時に洗剤とブラシを使ってキッチリと落として欲しい。
その際、ブレーキ回りやサスペンションなどの足回りの構成部品に付着した融雪剤を落とすことも忘れずに。雨の日など走れば大半の場所は自然に洗えてしまうけれど、隙間などは白っぽい融雪剤が残っている。歯ブラシなどで落としてやれば、タイヤのコンディションを良い状態に保てます。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。