Vol.99「2012ニューヨークモーターショー~注目の日本車~」
アルティマ
本来ならアメリカの大きなモーターショーと言えば、三大メーカーの本拠地で開催されるデトロイトショーである。2番目ロサンゼルス。3番目シカゴといった具合。ニューヨークは日本で言えば福岡か札幌というイメージで、「空飛ぶクルマ」みたいなキワモノも出てくるショーだった。
しかし今年のショーに限って言えば大盛り上がりを見せる。韓国勢に押され気味の日本車が「このあたりで巻き返しを図ろう!」と動き始めたからだ。トヨタも日産も、普通ならデトロイトで発表するような主力モデルをデビューさせた。しかも全て「日本もまだイケますね!」と思わせる力作です。
まず日産。あまり知られていないことながら、今や『アルティマ』はアメリカで販売されている全ての乗用車の中で2番目に売れているモデルである。1位のトヨタ『カムリ』に肉薄する販売台数なのだから大健闘と言って良い。その主力車種の次期型をニューヨークショーで発表してきた。
レクサスES300
驚くのはデザイン。最近の日産車と言えば、電気自動車のリーフや、ヘッドライトとフォグランプの区別さえ付かないジュークのように変わったデザインが多い。しかし発表された次期型は写真の通り正統派のスタイリッシュなスタイルを持つ。2年後をメドにハイブリッド仕様も追加される。
トヨタはレクサスとトヨタで1車種ずつワールドプレミアを並べた。なかでも話題となっていたのがレクサスの売れ筋モデルである『ES300』。 カムリハイブリッドと同じ新世代の2.5リッターハイブリッドユニットを搭載するモデルをメイングレードにするとのこと。
ES300も次期型アルティマに勝るとも劣らないスタイリッシュなデザインとしてきた。CT200hから始まったスピンドルグリル(糸巻きをモチーフにしたフロントグリル)ながら、イッキに完成度が高くなった。このくらい仕上がってくれば良い評価を得られると思う。きっと売れるハズ。
アバロン
トヨタが出展した次期型『アバロン』はカムリより一回り大きなキャビンスペースを持つ、アメリカのトヨタブランドで最大のセダンである。現行モデルは広いだけで地味な存在だったものの、新型でイッキに存在感を出してきた。ニューヨークショーでの評判も上々だったという。
そしてもう1台。日産が受注に成功したニューヨークタクシー『NV200』の初披露となった。日本で販売されている商用車『バネット』をタクシー仕様にしたもの。今後、全てのニューヨークタクシーがNV200になるというから面白い。今年の次の大きなモーターショーは北京となる。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。