国沢光宏のホットコラム

2010 クルマ&バイク情報

Vol.83「ブーム到来!?アイドリングストップ付きクルマ」

信号待ちなどで停車すると自動的にエンジンも停止する『アイドリングストップ装置』を装備するクルマが続々と登場してきた。マツダの『i-stop』を皮切りに、日産は新しいマーチとセレナにアイドリングストップを採用。マーチの販売状況を見ると、圧倒的にアイドリングストップ付きが多い。

滑らかに始動するマーチのエンジン

なぜアイドリングストップなのだろうか?当然ながら最大の理由は「燃費の改善」である。マーチの場合、24km/Lという標準車の10・15モード燃費に対し、アイドリングストップ付きは26km/L。セレナも標準車の14.4km/Lから15.4km/Lに向上する。

一般的にアイドリングストップ機能を加えれば7~8%程度燃費が良くなると考えていいだろう。こう書くと「それしか良くならないのか?」と思うかもしれない。しかし、例えば実用燃費で10km/Lのクルマで8%改善したらどうか。意外なことに走行1万kmあたり1万円も節約可能。

ハイブリッドは当然の如くアイドリングストップする

アイドリングストップ人気の理由はもう一つある。ユーザーの反響をディーラーに聞いてみたら「若いお客様を中心として環境に対する意識は非常に高くなってきました。比較的手頃な価格でアイドリングストップが付くマーチの大きなセールスポイントになっています。もちろんセレナも好調です」。

若い世代はエンジンの掛けっぱなしに対する抵抗感が驚くほど強い。踏み切りや信号待ちの際、マフラー交換して賑やかな排気音を出しているスクーターがエンジンを止める、などというシーンに最近よく出会う。ランニングコストを節約したい、というだけでなく、環境に対する意識の高まりもアイドリングストップ普及の大きな要因になっている。

環境に優しくランニングコストを低減できるとなれば、やはり購入するユーザーが増えて当然かもしれない。加えて快適性も大幅に向上してきた。マーチのアイドリングストップに乗って驚いたのだが、滑らかにエンジンの停止&始動を行う。特に始動時のセルモーター音は今や気にならないほど。

BMW320iもアイドリングストップ付き

新型セレナの場合、ベルトで駆動するオルタネーター(発電機)をエンジン始動用のセルモーターとして使用。このシステムだと始動時に金属音(ギアを噛ませる音)を伴うセルモーターギアを使わないため、さらに滑らかにエンジンが掛かる。アイドリングストップシステムはどんどん進化しています。

今後どうなるだろうか?停車時にエンジン停止が当たり前の機能となっているハイブリッド車の増加もあって、通常のエンジン車のアイドリングストップは急激に普及していくと考えていい。台数の増加=コストの低下なので、価格だって下がって行く。

デメリットはバッテリー寿命の低下だと言われているものの、アイドリングストップ付き車は二回り程度大きな容量のバッテリーを装備しているため、あまり気にしなくていいかもしれません。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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