Vol.81「カーナビ VS PND~最近のカーナビ事情~」
ここにきて後付けタイプのカーナビの需要が減り始めているらしい。GPS機能付き携帯電話の増加なども要因の一つだと言われているけれど、最大のライバルとなっているのは価格破壊状態になっている『PND』(パーソナル・ナビゲーション・デバイス)の増加だろう。
2万円台から買えるPNDはリアシート用にもなる
なにしろリーズナブル。本格的なナビに匹敵する7インチ画面を持ち、ほぼ完璧なルート案内機能や、VICSによる渋滞情報、さらにワンセグチューナー、MP3の再生機能まで持つ製品で実売価格5万円台の前半といったイメージ。型式遅れや5インチ画面なら2万円台の予算で買えてしまう。
機能を絞れば安い方だと1万円を切る製品も少なくない。9800円で販売されているPNDを入手して使ってみた。画面は4.3インチと少し小さめ。電話番号入力による目的地指定機能が無かったりするものの、個人宅だとあまり使えない機能なので実用上問題ないと思う。
電源の確保や配線、アンテナの設置といった取り付け作業が必要なナビに対し、PNDだとシガーソケットから電源を取るだけ。小型サイズの製品であれば2~5時間稼働する内蔵バッテリーを持ち、複数の車両を持っているような人なら移設も簡単(自転車やバイクへ装着したっていい)。
画面の小さいタイプは視認性という点で物足りない反面、軽量かつ消費電力が少ないため、クルマから取り外して使用するのに便利だったりする。このあたりは使い方や個人の好みで決めればいいんじゃなかろうか。総合的に評価すると1万円台前半の商品だって十分使えると考えてよかろう。
30万円前後する工場オプションのナビ
後付けのカーナビは廃れてしまうか? 興味深いことに30万円程度する純正装着ナビも案外売れてます。カーナビに30万円出すというユーザーも少なくないのだ。また、カー用品店で20万円の予算を組むと、フルセグTVチューナーまで付く最高級のHDDナビに手が届く。
宣伝予算の関係なのかカーナビのメーカーは機能の全てをアピール出来ていないが、使いこなせばPNDより優れている。特に位置の測定(GPS衛星を見失っても車両からの距離と速度情報で場所を推定)は圧倒的に優れてます。こうなるとユーザーはどのタイプを選んだらいいか大いに迷う。
10万円から買えるディーラーオプションのナビ
参考までに書いておくと、私なら新車購入であればディーラーオプション品(ワンセグTVなど付いて10万円程度)。カーナビの付いていない中古車を購入したのであれば、高性能のPNDを購入すると思う。道案内機能だけで考えると、VICS機能さえ付いていればPNDで全く困らないです。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。