Vol.74「最近のヘッドライト事情」
ここにきてヘッドライトを巡る状況が若干変化してきたのでレポートをお届けしたい。まずヘッドライトの上下調整スイッチの標準装備化について。平成18年以降に生産されたハロゲンヘッドライト仕様(白熱電球より30%程度明るい)のクルマは、手動の光軸調整装置が義務づけられている。
ハンドルの右下あたりに数字の入った回転スイッチが設置されていることだろう。ヘッドライトを点灯した際、上を向いてしまっているようなら、スイッチの大きな数字を選ぶと下向きになります。ちなみに光量の大きいHIDライト仕様車は全て自動調整機能付き。
トランクやリアのラゲッジスペースなどに重い荷物を搭載すると、クルマは後ろ下がりになり、必然的にヘッドライトが上を向いてしまう。対向車にとって大いに迷惑な話。こんな時に、手動の光軸調整装置を上手に利用して頂ければ、と思う。
ハロゲンライト仕様のクルマに乗っており「安全のためヘッドライトをもっと明るくしたい」というなら、二つの対応法からチョイス出来ます。一つ目は明るいバルブ(電球)に交換する、というもの。カー用品屋さんに行きワット数の大きいバルブを購入すればOK。
バルブの寿命が若干短くなるものの、従来付いていたバルブを予備としてクルマに装備しておけば(左右の互換性あります)、万一切れてしまった際も安心。メジャーブランドのワット数の大きいバルブなら簡単に20~30%明るくなるだろう。
抜本的に明るくしたいなら、HIDライト(ハロゲンよりも長寿命・高効率)に交換するといい。これまたカー用品屋さんに行くと多数の商品から選べる。自分のクルマや用途に合った製品を購入すればいいだろう。HIDに交換すると、夜道が楽しみになるほど明るくなります。
さて。最先端のヘッドライトといえば『LEDライト』である。 明るい割に消費電力が少なく、寿命もクルマの一生を凌ぐ。ただ現時点でお手頃な後付キットが出回っていないため(やがて相場も下がってくるだろう)、純正装着される新車を選ぶしか無い。
ヘッドライトの性能をより効果的に発揮させるためにバッテリーを強化させる「バッテリーシステム ボルトブースター」も有効です。
注意して欲しいのは法規対応。明る過ぎるヘッドライトや、テールライト・ストップランプ・ポジションライト・ナンバープレート灯などのLEDライト化は違法改造になることもあるので製品のパッケージや説明書を確認して欲しい。 ヘッドライトと関係ないけれど、最近バックフォグを標準装備するクルマも増えてます。本来、霧の中や大雨など悪天候時に後続車の注意を喚起するための装備で、好天時はブレーキランプよりまぶしく感じるほど。したがって「点灯しない」が基本。
なのに夜間に高速道路を走ると、必ずバックフォグを点灯しているクルマに遭遇します。ドライバーは気づいてないのかもしれないけれど、後続車から顰蹙を買う。嫌がらせを受けることもあるので「バックフォグのスイッチオフ」は必ずチェックして欲しい。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。