Vol.70「東京モーターショー2009の見どころと楽しみ方」
10月24日から東京モーターショーが開幕する(11月4日まで)。すでにTVや新聞で報じられている通り、欧米の自動車メーカーは『ロータス』と『アルピナ』の2社を除き不参加。タイヤメーカーやオーディオメーカーなど含め、約100社という規模となってしまった。
今年4月に上海で開催されたモーターショーは世界中の自動車メーカーがブースを出し、部品メーカーを合わせれば約1500社にのぼるほど!
そんなことから「東京モーターショーは凋落した」という声も多く聞こえる。どうして世界の3大モーターショーと評されてきた東京が盛り上がらないのだろうか?
最大の要因は「市場として魅力が薄れてきた」点にあると思う。国内に占める輸入車を見ると2007年まで26万台規模の販売台数をキープしていたものの、昨年20万台に急減。今年は17万台を下回る可能性が出てきた。環境性能を得意としない輸入車にとってみれば、今後も伸びは期待しにくい。
一方、中国市場ときたら驚くほど好調。10%や20%の伸びなど当たり前。
GMやクライスラーまでも中国市場に投資しているほど。景気が悪い中、節約するとすれば、費用対効果の低い東京モーターショーということになってしまう。実際、東京モーターショーに参加しても、売れ行きは伸びないと思う。
それなら今回の東京モーターショーはツマらないのか?という懸念も出てくるかもしれないが、日本の自動車業界の裾野は広い。
具体的に書くと、『ワールドプレミア』(世界初登場)が18車種も揃う!トヨタのFRクーペ『FT-86』やホンダのハイブリッドスポーツ『CR-Z』のような興味深いモデルも多数。スズキは全く新しいハイブリッドシステムを搭載した『スイフト プラグインハイブリッド』を出展する。その他、リッター30km以上走るクルマやEV(電気自動車)も多数出てくるなど、ECO技術に関して言えば、やはり世界を圧倒する内容だと言い切ってしまってよかろう。
また、30年の歴史を持つ『日本カー・オブ・ザ・イヤー』(COTY)の受賞車をズラリと並べるブースもある。初代FFファミリアや、初代ソアラといった懐かしいクルマも見られます。しかも選考委員が毎日5人(土日は7人)解説員として当番をしているため、いろんな話を聞けるハズ。
その他、全長3kmのコースで燃料電池車やEVといった新型車の試乗が出来るコーナーも(10時から試乗券を配布。2輪車も特設コースで試乗可能)。
いろいろな意味で「人の顔が見える」イベントになりそう。クルマ好きなら今までの東京モーターショーより楽しめることだろう。
ちなみに私のCOTYの当番日は10月31日(土曜日)です。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。