Vol.69「愛車のメンテナンスで大切なこと」
「一台のクルマを長く大切に乗ろう」という人が増えてきたらしく、最近「コンディションを良い状態でキープするにはどうしたらいいか?」と聞かれる。確かに疲れた状態のクルマに乗るより元気な方が気持ちよいと思う。人間のアンチエイジングと同じこと。
まず最初にやるべきなのは「ディーラーでチェックを受ける」こと。こう書くと「昔から付き合いのある近所の修理工場に整備を頼んでいる」というケースも多いことだろう。普段の整備に関して言えば民間の修理工場で何の問題もありません。
ただ人間ドックのようなモノで、たまにディーラーに持ち込んでチェックしてもらうことをすすめたい。正規ディーラーは大量のデータを持っており、消耗部品交換時期の目安を教えてくれる。「病気になってから治す」のでなく事前に対応出来るのだ。
冷却水を循環させるウォーターポンプや、ガソリンを送り込む燃料ポンプなどが壊れると、路上でストップすることになってしまう。こういうトラブルに遭遇すると大きな時間のロスになるだけでなく、止まった場所によっては危険。
例えば走行10万kmくらいで寿命を迎える部品があったとしよう。ディーラーへ点検に出した際「そろそろ交換を考えた方がいい」といったアドバイスを受けられるハズ。その時点の走行距離を見て、交換するかどうか自分で判断すればいい。
検査を受けて「問題なし」となれば、手軽にできるアンチエイジングを行いたい。
人間のサプリメントと同じように、クルマには添加剤を推奨する。例えば、オイルシステムの『多走行車用』には、ジワジワとエンジン内部の汚れを落とす洗浄剤が入っている。ピストンリングの溝にグリスのような汚れや炭化物(焦げのような汚れ)が入り込み動きに支障をきたしているケースは少なくないけれど、この洗浄剤で機能を回復させてくれます。劣化の始まったシール剤(まぁパッキンのようなもの)にも”潤い”を与える。
これらの添加剤は即効性こそないものの、ジワジワ利く。比較的新しく、走行距離もそれほど多くないクルマであればプレミアムタイプの『モーターレブ』やクルマのタイプ別で選べる『ミニバン用』『ハイブリッド車用』『軽自動車用』の添加剤(オイルシステム)を入れるとコンディションをキープしてくれます。
ボディの表面もアンチエイジングが可能。劇的な効果を持つのは「ガラスコート」と呼ばれる表面のコーティング。上手なショップに頼み、「磨き」と同時に行ってやると、ゆでタマゴの皮をむいたようになる。新車のような塗装状態に戻ってしまうほど。
さらに塗装表面に強固な被膜を形成するため、キチンと施工してやれば6年以上水垢は付かない(理論上はもっと長持ちするのだけれど、ガラスコートの技術が確立して6年程度しか経っていない)。とりあえず手軽に出来る添加剤から試してみたらいかがだろう。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。