Vol.29「直噴エンジンの可能性」
御存知の通りエンジンは空気の中に適正な量のガソリンを混ぜ、燃焼させることによりパワーを発生させる。
もう少し具体的な数値を挙げると、効率よく燃焼させようとすれば、ガソリン「1」に対し空気「14.7」の割合にしなければならない。
濃くても薄くても排気ガスは汚なくなり、パワーだって出ない。
非常に大切な空気とガソリンの混合比、20年くらい前まで『キャブレター』(気化器)という原始的な装置を使い「おおよそ14.7対1」としていた。
けれど“ドンブリ勘定”では徐々に厳しくなっていく排気ガス基準をクリア出来ない。
キャブレターの弱点をカバーしてやろう、と考えられたのが『電子燃料噴射』。
いわゆるインジェクションというシステムである。
エンジンに入ってくる空気の量を精密に計測。
適正な分だけガソリンを噴射するというもの。
「ほぼ14.7対1」の混合比を作れるため、キャブレターよりはるかに高いクリーン度も追求可能になった。
しかし「もっと燃費を追求したい」とか「排気ガスのクリーン度をキープしながらパワーを出したい」となると、インジェクションでも物足りなくなってしまう。
「完璧に14.7対1」の混合比を作りたいのだ。
そいつに対する回答が『直噴』。
通常のインジェクションは吸気バルブの手前に位置するが、直噴は精密に計った空気の分量に合わせたガソリンを、直接シリンダーの中に噴射するというもの。
これなら排気ガスのクリーン度を高い次元で追求出来る上、さらにパワーや燃費まで改善させられる。
実際、トヨタは直噴エンジンの可能性を高く評価。
ミニバンのノアやクラウンに採用し、熟成を進めた。
「成果上々」ということなんだろう。
高級車部門のレクサスの新型車は、基本設計の古い4.3リッターのV8以外、全て直噴エンジンを搭載。
フォルクスワーゲンやアウディ、BMWといったドイツのメーカーなども、直噴エンジンが主力になりつつある。
ハイブリッドシステムとの相性も良いため、今後さらに直噴エンジンを採用するモデルが増えるんじゃなかろうか。
直噴エンジンの数少ない弱点は「エンジン内部にススが溜まる場合もあること」。
特にハイオク指定の直噴エンジンに清浄効果の薄いレギュラーを入れ続けていると、いろんな場所へカーボン(燃え残りの炭素)が溜まってしまう。
調子の悪くなった直噴エンジンは、分解するとススで真っ黒になっているそうな。
たまにアクセル全開で加速するなどすれば燃えるのだろうけれど、やさしい運転じゃカーボンが溜まる一方。
そんな時にすすめたいのが、燃料添加剤。
『スーパーパーフェクトクリーン』は、強力な清浄効果を持つため、溜まったカーボンを除去してくれる。
直噴エンジンに乗っているなら、ぜひ試してみて欲しい。
添加剤を入れてやれば、無理して高回転までエンジンを引っ張ることも不要。
もちろん直噴エンジンでなく普通のレギュラー仕様のエンジンに乗っている人も、スーパーパーフェクトクリーンでエンジン内部をキレイに保つと燃費やパワーが向上します。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。