国沢光宏のホットコラム

2006 ドライビングテクニック

Vol.26「燃費向上テクニック」

省燃費性能をアピールポイントとした新型車など出てくると、メーカーや雑誌で「エコラン競争」なるものを行なう。同じルートを走り、誰が(どの車種が、というケースもあります)一番良い燃費を出すかという内容。スポーツカーをサーキットで走らせ、そのクルマの性能をしっかり引き出すようなものと考えていい。したがってエコラン競争で使うテクニックを知っておけば、街中での燃費は向上すると考えていいだろう。
以下、紹介します。

まず走る前のチェック。当然ながら「タイヤの空気圧をチェック」し「ムダな荷物は降ろす」。ちなみにエコラン大会の場合、メーカー規定の空気圧にピッタリ合わせ(高くすると走行性能のバランスが悪くなるものの、燃費は良くなる)、スペアタイヤを降ろすようなことは認められない。

初心者にエコランのドライバーを託す時は、タコメーターに写真のような「エコラン用のレッドゾーン」をビニールテープなどで設定。加速時にこれ以上回さないようにしましょう、という目安なのだが、予想以上に効果的。1300cc以下なら2200回転程度。2000cc前後で2000回転。それ以上の排気量は1800回転を推奨します。こういった“目安”を設けると守りやすいようだ。

走行テクニックはどうしたらいいか?
最も重要なのが巡航速度。一般的な乗用車だと、50kmくらいで最も燃費の良いギア(4速ATなら4速ギア)に入る。また、60kmを超えると空気抵抗のため燃費は悪化し始めてしまう。したがって高速道路以外では交通の流れに乗り走っていればOK。ただ高速道路で60km走行すると、周囲の交通に迷惑が掛かってしまう(エコラン大会は80~90kmくらいで走るよう、到着目標時間を設定されます)。時間と安全と燃費のバランスから、走行車線の90km前後を推奨しておく。この速度域だと追いつくクルマも少なく、エコランの基本テクニックである「アクセルを一定に保つ」という走りをしやすいというメリットもある。
意外かもしれないが、加速は「ゆっくりすれば良い」というものでもない。

むしろ「燃費用に設定したレッドゾーン」(前出)まではしっかりアクセルを踏む。そして設定した回転数に達したらアクセルを軽く戻し、シフトアップさせるような走り方がベスト。後続車に迷惑を掛けるような「エゴ」ランでは良い燃費を出せないのだ。
大切なのは赤信号を見た時の対応。後続車が居ないなら、即座にアクセルを戻してムダな燃料を使わないよう心がける。後続車があるなら、アクセルを一定にし同じ速度を保つ。いろいろな人の助手席に乗るけれど、皆さん赤信号なのにアクセル踏んでます。
街中ではこれだけで燃費が変わってくるから大きい。

巡航速度を適正にする。
加速の時に回転を上げすぎない。
前方が赤信号になったら加速しない。
この3点を守るだけで、思った以上に燃費は良くなる。簡単にできることなので、ぜひ試してください。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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