Vol.15「スタッドレスタイヤの交換」
そろそろスタッドレスタイヤからノーマルタイヤに交換する時期になった。意外に知られていないのが「正しい保管方法」じゃなかろうか。以下、どうすればタイヤを良いコンディションのままキープ出来るか紹介してみたい。まずスタッドレスタイヤを外した後、最初に行って欲しいのは、タイヤとホイールの汚れを落とすこと。冬場の高速道路などを走ると、路面に撒かれた凍結防止剤(一般的に塩化カルシウム)で汚れている。凍結防止剤を付けたままにしておくと腐蝕の原因になってしまう。出来れば洗剤を使い、しっかり洗うこと。
ちなみにホイールナット(ボルト)を外す際、根本に『5-56』を吹いておくと腐蝕防止になります。走行中に水のかからない部分を見ると、塩化カルシウムの大きな結晶が出来ていることもあるから注意したい。大きな結晶になると、少し水をかけたくらいじゃ取れないのだ。せっかくタイヤを外したのだから、ブレーキ回りも洗っておこう。ブレーキ回りが汚れていれば『ブレークリーン』で洗浄しておく。ガンコな汚れも簡単に落ちます。また、ブレーキパッドの残りなどもチェックしておくとよい。
こういった作業を自分でする時は写真の如く車体の下に外したタイヤを置いておくのが基本中の基本。万一ジャッキがズレても、最悪の事態にならずに済む(もちろんサイドブレーキを引き、AT車ならPレンジにした上、車止めを使うこと)。外したスタッドレスタイヤは、可能なら空気圧を少なくする。標準の空気圧のままだとタイヤにとっても緊張状態。ただ抜き過ぎるのも良くない。タイヤメーカーによれば、およそ1kgf/cm2(最近の表示方法だと約100kPa)程度にして欲しいとのこと。タイヤの置き方は平積み。立てた状態で保管すると、接地面が変形。フラットスポットになってしまったりする。タイヤを4本重ねるのは問題無し。もしタイヤラックなどに立てて保管するなら、硬い部分と当たる位置に柔らかいものを挟んでおくといい。
保管する場所は、理想を言えば日の当たらない倉庫。地面に直接置かず、木などを下に敷き平積みしておくと100点です。そういった理想的な置き場所が確保出来ないなら、直射日光と雨だけ避けて欲しい。屋外に置くなら、下にブロックと木を敷き地面から離す。で、ビニールカバーなどで覆う。最近はカー用品店に行くとスタッドレスタイヤ専用のカバーを売っている。タイヤの交換方法は、昨年の『Vol.6』をご参考に。 自分のクルマに積まれている取り扱い説明書を読むと(たまにはジックリとチェックしてみましょう)、適度な締め方の目安が紹介されていると思う。一般的には車載のレンチの先端に50kg分くらい(70kgの人なら全体重を掛けない程度)の体重を載せて締めればOK。交換後、しばらく走って“締まり具合”の点検をしておくと万全です。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。