国沢光宏のホットコラム

2004 メンテナンス情報

Vol.4「高粘度エンジンオイルの摩擦低減方法」

モーターレブを入れるとなぜ燃費が良くなるのか? 今までは「摩擦抵抗を少なく出来るから」と答え、実車テストでデータを出すしか説明出来なかった。しかし最近になって自動車メーカーがその証明をしてくれている。機会あったら新しい世代の省燃費エンジンを搭載しているクルマの取り扱い説明書を見て欲しい。オイルの項で複数のオイルを指定しているのだが、大半のモデルは『5W25』とか『0W20』という“一つ目の数字”が『0』か『5』というサラサラのオイルを推奨していることだろう。0番のオイルなど、水とは言えないまでもオレンジジュースのような粘度だ。工場で組み立てる際、最初に入っているのはこういったオイル。

なぜサラサラのオイルを使うのかというと、摩擦抵抗を少なくするためである。省燃費エンジンを開発しているエンジニアにオイル粘度でどのくらい燃費が違うか聞いてみたら「0番と10番では5%くらい違う場合もあります」。スポーツエンジンに搭載されている15番指定のエンジンだと、もっと違うんじゃなかろうか。それなら10番や15番オイル指定のエンジンに0番オイルを入れたら燃費が良くなるだろうか。答えは簡単。「なる」である。しかし副作用も出てしまう。サラサラのオイルを普通のエンジンに入れてしまうと、寿命を縮めたり、壊れてしまうこともあるから怖い。また、ほとんどのエンジンで騒音が出て、振動も大きくなる傾向。

オイルというのはエンジンの隙間に入り込み、騒音を低くしたり、金属と金属が当たる部分のクッションになったりと、潤滑以外の仕事も行っている。サラサラのオイルだと、密閉効果低く、クッションとしての効果は期待できない。だから0番オイル未対応の普通のエンジンにサラサラのオイル入れると、極端なケースでは「がしゃがしゃ」とヘッド周りから金属の打音まで出てしまう。ちなみに今でもスポーツ系エンジンの大半は、高い潤滑性能を持つ10番や15番を指定している。つまり0番や5番指定のエンジンでないと、サラサラのオイルは使えない。逆に考えると、エンジンの設計変更をしてまで使いたいほど燃費低減効果のあるオイルなのだ。

写真提供 ホリデーオート

さてモーターレブである。特長は「10番や15番オイルでも摩擦抵抗を減らせられること。しかもサラサラのオイルの副作用は無し」。今までテストしてみた経験からすると、およそ5番オイルと同じくらいの摩擦抵抗ではなかろうか。したがって15番や10番を使っているクルマなら、ハッキリと燃費良くなるのが解ると思う。自動車メーカーの社内テストによれば、15番から5番にすると5%くらい良くなるそうな。皆さんオイルを選ぶとき、けっこう迷うと思う。ブランドと同じくらい数字も気になるところ。いつも書いている通り基本的に「取り扱い説明書に書かれている番手」を入れるべき。その上で添加剤をどうぞ。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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