Vol.5「ガソリンのオクタン価」
ガソリン価格が上がったせいか「ハイオクとレギュラーガソリンを混ぜて使ったらどうなるか」という質問を多く受けるようになってきた。考えて欲しい。1km圏内にガソリンスタンドが2軒あり、3円の価格差あったなら99%の人は安いスタンドを利用すると思う。なのにハイオクとレギュラーの価格は10円程度違う。もしハイオクとレギュラーを混ぜて使えるなら、不景気風に直撃されているお財布にやさしい。
問題ないだろうか?
ハイオクとレギュラーの違いは二つ。
『オクタン価』と『エンジン内部を清浄する添加剤』の有無だ。オクタン価だが、
標準的なレギュラーは90オクタン。そしてハイオクになると100オクタンになる。
レギュラー仕様のクルマなら90オクタンのガソリンで何の問題もない。
逆にレギュラー仕様なのにハイオクを入れる必要など皆無。
ではハイオク仕様にレギュラーを入れたらどうなるか?
「取り扱い説明書にレギュラーは使わないように」と明記されているクルマを除き壊れることはないけれど、高回転域まで使った時のみ10%前後パワーダウンすると考えればいいだろう。ハイオク仕様のエンジンはレギュラーしか入手出来なかったことを想定しているため、対応策として『ノックセンサー』を持つ。
エンジンに悪い影響を与えるノッキング(異常燃焼)防止のため、点火時期を遅らせれるのだ。
ただアクセルを半分くらいしか踏まず普通に街中を走っている程度なら、ノックセンサーの出番など無い。つまりレギュラーで何の問題もないということ。
ところがハイオク仕様に乗っていると、やっぱりレギュラー入れるのは心配になってくる。
そんな時に思い浮かぶのが、ハイオクとレギュラーの混合。こう書くと「混ぜたらいけない」と言う人もいるから面白い。
おそらく最近のハイオクがLPガスなどから作る化学合成ガソリン(アルキレート)を含むようになったため、原油から精製される既存のレギュラーとの相性が悪いと考えるのだろう。結論から書くと、混ぜても問題無し。オクタン価は配合量によって変わってくると考えていいそうな。
半々なら95オクタンくらいになるということ。参考までにハイオク仕様のエンジンは大半が
96オクタン以上のガソリンという設定。
したがって半分ずつ混合して使えば、アクセル全開走行しない限り性能的にも遜色ないということになる。有人のスタンドだと面倒臭がられてしまうけれど、急増中のセルフ式スタンドなら手軽に混合給油出来るから便利。
また「レギュラー仕様のクルマなのだけれどハイオクにはエンジン内部をクリーンに保つ清浄剤が入っているから使っている」という人もいるようだ。
それならレギュラーを入れ、できれば毎回入れるのがお勧めだが100リッター毎に『スーパーガストリートメント』など入れればよかろう。
レギュラーとハイオクの価格差は100リッター当たり1000円。
『スーパーガストリートメント』を定期的に使った方が効能あるしコスト的にも有利だと思う。
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。
学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。