国沢光宏のホットコラム

2019 モーターショー

Vol.178「東京オートサロン2019」

オートサロン2019も大いに賑わった。会場ほぼ全域で歩くのに苦労するほどの混雑振り、若者のクルマ離れと言われる我が国の自動車関連イベントと思えないほどの盛り上がりだ。オートサロンの広報担当者に聞くと「ここ数年、若い人達がハッキリと増えました」。入場者数は3日間の開催で過去最高の33万人になったそうな。

オートサロン全景

トークショーもたくさんあって楽しい。

また、オートサロンといえば派手なコスチューム目当ての人の多さで知られていたものの、これまた「キャンギャルやコンパニオンを追いかけている人達の高齢化が目立つし、減っています。皆さん主役のクルマを見て楽しむ本来のオートサロンに戻りました」。最近自動車全般に対し興味を失いつつある人達も、往年の雰囲気を感じて元気になる。

実際オートサロンは華やかだ。フェラーリもランボルギーニも普通に並んでいる。自動車用品だって多岐に渡る。来場者に話を聞いてみた。景気の良かった『昭和』を知っている世代は「オートサロンに来ると昔楽しかったおもちゃ箱をひっくり返したようなワクワク感があります」。若い世代に聞くと「クルマってこんなに華やかで楽しいんですね!」。

オートサロンの主催者も時代の変化を敏感にかぎ取っている。黎明期のオートサロンといえば「改造車の祭典」として知られており、期間中は警察が来場者の改造車両の摘発など行っていたほど。来場者も普通のクルマ好きと言うより、エキセントリックだったと思う。しかし10年くらい前からハッキリ流れが変わり始める。

それまでは自動車メーカーが「改造」によるイメージダウンを心配しオートサロンに感心を示さなかった。リーマンショックあたりから「クルマ感度の高い来場者が多いオートサロン」に興味を持ち始め、自動車メーカーも続々出展に踏み切る。なかでもトヨタはスポーツモデルである『86』をオートサロンで発表するなど上手に利用し始めた。

NATS(日本自動車大学校)の展示車

また「自動車大学校」という教育機関の出展も増えている。『NATS』(日本自動車大学校)は、毎回学生が企画した車両の発表会のような意味でオートサロンに出展しており、メーカーや有名なパーツメーカーに勝るとも劣らない賑わいを見せているほど。出展社も出展内容も多岐に渡っており、これもオートサロン人気の原動力になっている。

主催者側も自動車メーカーの参入を機に、過激な改造車の出展に歯止めを掛けるなど健全な方向に舵を切る。狙いはバッチリ。前出の86を出展した2012年の入場者数25万5千人。以後、順調に伸びてきた。この数年で海外から訪れるプレスや入場者数も増えているという。実際、会場内を歩いていると外国の人がけっこう目立つ。

オートサロンと同じようなイベントが大阪にもある。インテックス大阪で2月9日~11日に行われる『大阪オートメッセ』だ。3日間で21万8千人(2018年)という関西最大規模の入場者数というイベント。オートサロンより一回り狭い会場のため、混雑度合いはいい勝負だ。関西地域の方はぜひ元気を貰いに足を運んでみたらいかがだろう。KUREブースもあります。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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