国沢光宏のホットコラム

2006 クルマの豆知識

Vol.30「道路交通法改正」

6月1日から駐車違反取り締まりの民間委託が始まった。
今までと「違う点」を紹介してみよう。

取り締まりを行なう人

警察の認可を受けた民間人となる。
ただ職務中は『みなし公務員』となるため、
違反の告知を行なうための『標章』の貼り付けを妨害した場合「公務執行妨害」。
お金などを渡そうとしたら「贈収賄」。
ちなみに東京や名古屋、大阪などの全国102市町以外は、駐車違反取り締まりの民間委託をしていない。
以下紹介する内容を今まで通り警察官が行なう。

取り締まり方法

駐車違反場所に駐車してあるクルマを発見次第、
デジタルカメラで車両ナンバー入りの状況を撮影。
携帯端末で本部にデータを送り『標章』と呼ばれる違反告知証をプリントアウト。
それを車体に貼った時点で駐車違反が確定する。

何分駐車したらアウトか?

違反車両の発見から標章のプリントまでおよそ5分掛かる模様。
警察の『Q&A』によれば、車両に標章を貼り付けるまでは違反が確定しないとのこと。
当面「警告に留める」そうな。

駐車違反の取り締まりは増える?

警察庁長官の国会審議によれば、取り締まり件数はこれまでの2倍を見込む。
民間業者に委託料を支払わなければならないため、今までより件数を増やさなければならないのだろう。
都市部では数倍になるという情報も流れており、厳しくなること間違いなし!

出頭しなければ?

デジタルカメラで証拠を残しているため逃げられない。
仮に運転者が出頭しなかった場合、車両の使用者に『放置違反金』の納付書を送付。
これも無視したら、滞納処分手続き(拘束力のある様々な罰則あり)に入る。
また標章を誰かに剥がされたと主張してもダメ。

出頭しなければ減点されない

運転者が出頭しなければ個人の特定を出来ないため、減点(運転者の行政処分)は不可能。
その代わり、車両を使用制限される。
例えば取り締まりを受けた後、1年経たないウチにさらに2回標章を貼られると、
普通車なら2ヶ月間公道で車両を使えなくなってしまう。
運転者でなく車両の“免停制度”だと思えばいい。

誰も出頭しないのでは?

おそらく警察は駐車違反を「犯罪性が高くない違反」だと判断したのだろう。
実際、減点でも車両の使用制限でも、駐車違反を減らすための拘束力にはなる。
特に営業用の車両など、使用制限の方が厳しいかもしれない。

宅配便なども違反の対象か?

今のところ優遇措置は無い。
2名乗車に切り替えたりする業者も。
(車両に1名残り、すぐに動かせる状態なら、長時間停めても駐車にならず“停車”扱いになる)
コンビニなどへの配送も同じ扱い。
ちなみに民営化前の郵便局の車両&職員は駐車違反の適用外。
論争のタネになる可能性大。

取り締まりが厳しくなれば、駐車違反をして反則金(出頭した場合)や放置違反金(出頭しなかった場合)を払うより、駐車場に停めた方が長い目で考えると安く付く。
少し歩くようになっても駐車場を探すことをすすめたいと思う。

国沢光宏
国沢光宏 - 昭和33年東京都中野生まれ。

学生時代から自動車専門誌などでレポーターを始め、その後出版社を経てフリーの自動車ジャーナリストに。
著書に「愛車学」(PHP研究所)「ハイブリッド自動車の本」(三推社/講談社)「クルマの寿命を伸ばす本」(同)を始め多数。得意分野は環境問題、次世代の技術解説、新車解説。
毎日1万人が見に来る(KUNISAWA.NET)も好評。

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