材料準備
メインは、ホームセンターでよく見かけるスノコ。
いろいろなサイズのスノコがありますが、出来上がりを想像して適度な大きさのものを選びましょう。
工程を減らすために、なるべく切らずにそのまま使えるものを選びます。今回選んだのは押し入れなどに使う一般的なサイズの85㎝×45㎝(厚さ4㎝)のものです。
<材料リスト>
スノコ(前面用、後面用、フタ兼座面用、側面/背もたれ用)・合計5枚
底面用板・2枚
持ち手用角材・1本
蝶番・2個
取っ手金具・1個
キャスター(ロック付、ロック無)・合計4個
木ねじ
- 木村さんのワンポイント
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「スノコは木目がいろいろだったり、節の部分があったりします。それとモノによっては、歪みのあるものもあるので、一枚一枚確認して選びましょう。」
収納部分の製作-1.側面
スノコをそのまま前面と後面に使い、高さが45㎝、幅が85㎝のベンチとしてもちょうど良いサイズの収納部分を作ります。
まず、側面用のスノコをカットします。長さを前面・後面用のスノコの高さ(今回は45cm)に合わせて、さらに幅を収納ボックスの容量と座面の奥行きを考えて決定します。(今回はスノコ板2列分をカット)これを2枚作って側面パーツの出来上がりです。余った部分は背もたれに使いますから、取り分けておきましょう。
- 木村さんのワンポイント
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「採寸には、直角が簡単に出せるL型金尺が一本あると便利ですね。
今回は電動工具を中心に使っていきます。慣れれば電動の方が簡単に正確に作れます。まずは、本番前に切れ端などの余り木で試して使い慣れるといいですね。
電動丸ノコは、刃が板厚よりも少し出る程度に調整して、ガイドにラインを合わせて切れば簡単かつキレイにカットできます。
注意点は、必ず刃を回転させてから切り始めること。板に当ててから刃を回すと、板が跳ねて危険です!」
次に、前面・後面用のスノコと切り出した側面パーツを合体して収納部分を作ります。
スノコの梁(角材部分)をうまく組み合わせて、キレイな箱形にしましょう。(スノコ板の端の出っ張り量が左右で違う場合もあるので注意)
前面・後面用のスノコで側面パーツを挟み、細めのドリルで木ねじ用のガイド穴をあけてから、木ねじをインパクトドライバーでねじ込みます。(事前に接合面に木工ボンドを塗布すると強度が上がります)
- 木村さんのワンポイント
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「木ねじは飛び出さない程度で、なるべく長いものを使うと安定します。電動インパクトドライバーを使うと確実にシッカリとねじ込むことができますが、電動ドリルにドライバーパーツを付けて使っても問題はありません。」
収納部分の製作-2.底板
四角い箱ができて全体像が見えてきました。
次に底板の張り付けです。一枚板を張り付けてもいいのですが、細板を使うことで、作業が簡単になります。
内側の左右幅を測って、それに合わせて細板をカット。今回は、2枚の細板を切り出してスノコのデザインを活かした隙間のある底板にします。
側面スノコの梁に載せる感じで木ねじを使って固定します。ここも木工ボンドを使って強度を出しましょう。
- 木村さんのワンポイント
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「ボックスの内側左右幅を測ったら、それより5㎜程度短くカットしましょう。
ボックスの中で板を動かせるので、作業がしやすくなります。」
背もたれの製作
側面パーツを切り出した余り木を、そのままボックスの後面板に木工ボンドと木ねじで固定します
2枚並べて固定しますが、今回の場合、2枚を並べると、ちょっと大きかったのでスノコ板1列分をカットして左右を合わせました。
この辺の簡単さもスノコならではです。一枚板だと、採寸も大変ですからね。
- 木村さんのワンポイント
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「基本的に、壁面に設置することを前提としているので、背もたれ自体の強度は弱いです。座面フタの蝶番などを付ける際に不安があったら、同じく側面パーツを切り出した時の余り木などを背もたれの背面に付けて補強しましょう。」
座面フタの製作
座面フタ用のスノコを収納ボックスの上に置いて位置と大きさを確認。
フタを持ち上げる取っ手の役割があるので、ボックスより少し飛び出す程度に(この場合、スノコ板1列分)カットします。
カットしたところに、持ち手用の角材を固定します。
座面フタをボックスの上に置き、位置決めをしてから蝶番を取り付けます。
動きを確認しながら、木ねじの位置に印を付けて、座面と背もたれに蝶番を固定。
座面フタの前面角材に、飾り兼用の取っ手金具を付けて座面フタの出来上がりです。
- 木村さんのワンポイント
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「座面フタと背もたれの間に1㎜ほどの隙間を空けて蝶番を付けると、動きがスムーズになります。L型金尺など手近にあるものを挟んで作業をすると、やりやすいでしょう。
蝶番の可動部分に「KURE 5-56」をちょっと吹いておくと、動きが良くなり錆の防止にもなります。」
全体の仕上げ
背もたれは、波形にカットしたり複雑な切り抜きをしたりと、いろいろ楽しめますが、今回は一番簡単なアール加工。背もたれの両端にアールを付けます。
背もたれにアールのラインを引いたら、それに沿って電動ジグソーでカット。
仕上げは電動サンダーで、角の部分はもちろん、平面部分もヤスリがけをしておきましょう。
- 木村さんのワンポイント
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「アールを描く時の簡単な裏技。余り木の片方に鉛筆用の小穴を空け、もう一方を木ねじで背もたれに固定します。小穴に鉛筆をセットして、木ねじを支点に回転させれば、キレイにアールが描けます。
また、電動サンダーは角の面取りはもちろんですが、平面の汚れ落としにも便利です。」
キャスターの取り付け
今回は、動かしやすいように底面にキャスターを取り付けてみました。
キャスターは、フリー可動のモノを2個と、ロックできるモノを2個用意。
底板の四隅に取り付けます。座面前方にロックキャスターを、後方にフリーキャスターを取り付けて出来上がりです。
- 木村さんのワンポイント
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「キャスターは、耐荷重が表記されているので、購入時に確認してください。取り付けは、動きを確認しながら、できるだけ四隅のギリギリに寄せて付けると安定度が増します。
また、仕上げに「シリコンスプレー」をキャスターに一吹きすれば、動きが一気に良くなります」
今回の工具
動工具というと、なんだか初心者には敷居が高そうですが、実は「初心者こそ、電動工具」というのが木村さんの考え方。
今回用意したのは、電動丸ノコ、電動ドリルといった電動工具の面々。もちろん、普通のノコギリやドライバー、ヤスリでも作れますが、どれもホームセンターで数千円で入手できるので、この際にそろえてみてはどうでしょうか。
- 木村さんのワンポイント
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「電動工具は初心者DIYの強力な味方です。管理だって、金属可動部分に「KURE 5-56」をシュッと一吹きしておけば、いつでも快適に使うことができるし、動きがギクシャクすることもないので安全ですよ。」
今回の制作には、こんな道具を使いました。
- 電動丸ノコ
- 電動ドリル
- 電動インパクトドライバー
- 電動ジグソー
- 電動サンダー
- L型金尺
- メジャー
- 筆記具
- 木工ボンド
Profile
株式会社木村グリーンガーデナー 代表 木村博明
1966年千葉県市川市生まれ
京都木戸雅光作庭事務所にて修行
木村グリーンガーデナー二代目として現在に至る。
第八回TVチャンピオン「ガーデニング王」準優勝
2003年 2004年 2006年DIYホームセンターショウで、講師&ガーデン製作を担当
2004年季美の森ガーデンコンペ優勝!!
2005年5月号より学研社「ドゥーパ!」にて“木村博明のモダン和風ガーデン小物”好評連載「自然暮らしの会」、マスターインストラクター